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首都圏の地下探る 400台の地震計網 小中学校に設置


関東平野の地下には二つのプレート(岩板)が沈み込んで多くの地震が起きる。だがプレートがどんな形になっているかはあまり分かっていない。将来の直下地震に備えるため、首都圏に四百台の地震計を設置し、首都圏の地下を調べる計画が東京大学地震研究所を中心に始まっている。 (永井理)

関東では陸のプレートの下に、東から太平洋プレート、南東からフィリピン海プレートが潜り込む。三枚の岩板が押し合って、さまざまな地震が起きる。

中でも、阪神大震災と同じマグニチュード(M)7級の地震は、近代観測が始まった一八八五年以降、深さが推定できるものだけで五回起きている。平均二十四年間隔だ。政府の地震調査委員会は次のM7級の発生確率を三十年以内に約70%とする。

だが五回の発生地は茨城、東京、千葉沖などばらばら。次はどこかも分からない。東京湾北部で起きた場合、政府の想定では死者は一万千人にのぼる。

地震研の平田直教授は「今は地下構造の知識が少なく、おおざっぱに考えるしかない。五回の地震の発生場所が、プレートの境界か内部かなどが分かれば、それぞれ将来の発生頻度や規模も推定できる」と話す。

■空白地帯にメス

この地下構造を詳しく知るため、四年がかりで首都圏に四百台の地震計網をつくる計画が、今年初めに始まった。文科省の首都直下地震防災・減災プロジェクトの一環で、平田教授が責任者を務める。

完成すれば地震計の間隔は平均五キロ。これほど密で長期的な観測網は例がない。

地震計の設置を担当する笠原敬司特任教授は「首都圏は地下を調べる高感度の地震計が非常に少ない地域」と話す。防災学技術研究所が運営する高感度地震計は全国に千点あるが、首都圏にあるのは十点余り。

設置できる場所が少ないうえ「都心の車や工事などの振動を避けるには、千メートル近い穴に地震計を埋める必要がある。一台で億単位の設置費がかかる」(笠原特任教授)という。

今回の地震計は約二十メートルの穴に埋める。費用をかけず強風や人が歩く程度の振動は消せる。激しい揺れは消えないが、観測点を四百点に増やすことで精度を上げる戦略だ。

プレート表面と内部では地震波の伝わる速さが違うため、大小さまざまな地震を観測して地震波の速度を分析すれば、エックス線CTのような地下の“断層写真”が得られる。

房総半島=図(上)AB間=に三−五キロごとに地震計を並べた〇二−〇六年の観測では、あいまいだったフィリピン海プレートの上面が確認された=図(下)。

現在の高感度地震計は約二十−三十キロ間隔で配置されている。四百点の地震計は十六倍以上の密度だ。「普通の放送とハイビジョンよりも差が大きい。地下の構造を明らかにすれば、直下地震の揺れもよりよくシミュレーションできる」と平田教授は期待する。

■防災の種もまく

四百台の地震計は小中学校に設置する。学校は人口に比例して分布する利点があるほか教育的な効果も狙う。

地震研では専用ホームページをつくり、地震が起きると緊急地震速報を各校に配信する。揺れの分布もネット上で公開し、要望があれば出前授業も計画する。すでに地震計を設置した五本木小学校(東京都目黒区)の小林元子校長は「学区の揺れを知ることで地震に関心が持てるのでは」と期待する。

温度計と気圧計も併設し、台風時の気圧変化などもネット上で見られるようになるという。

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